赤とんぼ

作詞 三木露風  作曲 山田耕筰

夕焼小焼の 赤とんぼ
負われて見たのは いつの日か

山の畑の くわの実を
こかごに摘んだは まぼろしか

十五でねえやは 嫁に行き
お里のたよりも 絶えはてた

夕焼小焼の 赤とんぼ
とまっているよ 竿の先

赤とんぼ

「赤とんぼ」といえば、日本人の誰もが知っている歌です。

「赤蜻蛉 とまってゐるよ 竿の先」
これは、露風が11~12歳の頃、教師のすすめで作った句と言われています。
露風は、幼い頃に分かれてしまった「母」への思いや寂しさなどを、ずっと心に抱えていたようです。
トラピストで赤とんぼの飛び交う光景を見て、ずっと心に残っていた「赤蜻蛉 とまってゐるよ 竿の先」
を思い出し、作られたのではないかと思います。
この「赤とんぼ」か、1番~3番までは、幼い頃の思いを綴っています。
でも、4番は「今」を表しています。
しかも、最後の歌詞は、「赤蜻蛉 とまってゐるよ 竿の先」なのです。
幼い頃に離れ離れになった「母」への思いがこの一節に詰まっているように感じます。

この「赤とんぼ」の詩は、今のものとはちょっと違っていました。

夕焼小焼の 山の空
負われて見たのは まぼろしか

山の畑の くわの実を
こかごに摘んだは いつの日か

十五でねえやは 嫁に行き
お里のたよりも 絶えはてた

夕焼小焼の 赤とんぼ
とまっているよ 竿の先




露風は、30代の頃トラピスト修道院で教鞭をとっていました。